卒業式で会長が祝辞

神代高校第68期卒業式が3月15日に行われました。今年の卒業生は317人。式典では銀杏会の藤森精太郎会長も祝辞を贈りました。 祝辞の挨拶文は以下の通りです。

 皆さんこんにちは。神代高校銀杏会会長の17回生藤森です。今皆さんが受け取られた卒業証書にもありますように、卒業生2万3千有余名を代表して、一言ご卒業の祝辞を述べさせて戴きたいと思います。

 改めましてご卒業まことにおめでとうございます。皆さんは第68回生になられますが、皆さんにとって、この3年はどのような期間だったでしょうか。3年前、この壇上から、入学の祝辞を述べさせていただいて以来ですが、もう卒業の祝辞を述べさせていただくことになりました。もう、と申しましたのは私の感想で、「あっという間でしたね」という思いからなのですが、果たして皆さんにとってはいかがだったのでしょうか。又どのように成長されたのでしょうか。

 私事で恐縮ですが、51年前に卒業した私にとっての高校生活を振り返りますと、人生の中で唯一、「ああ楽しかったなあ、あいつら今どうしているかなあ、学校はどうなっているのかなあ」と、事あるごとに思い出される時がくっきりと刻まれております。中学や大学、私は青山学院の当時、文学部教育学科でしたが、そのときと比べても、高校の時の思い出が一番鮮明によみがえります。もうすぐ70歳になるじじいが何を言っているかとお笑いになるかもしれませんが、高校は私の本当の意味での青春でした。

 在校中に失敗したことを、未だに同期会などで揶揄されることもありますが、これからどんな仕事をしようか、自分は何になりたいのかと模索していた時期でした。だからこそ今の自分が有ると思っております。当時は福祉のことにも興味がありましたが、教育関係の仕事に就ければいいかなと思っておりました。ただ、何か物足らず、迷っているうちに演劇に興味を持ち始め、学校を離れて20代はドラマや舞台に生活の場を広げていました。その後結婚し、子どもができ、自分の人生だけでなく家族の事なども考えているうちに、50代後半になり、福祉の仕事に入るようになりました。現在も私は介護の仕事をしており、現役のヘルパーとして高齢者の支援をしております。私も高齢者ではございますが、体が動く限りは続けたいと思っています。今朝も朝7時にケアがあり、おむつ交換や水分補給など済ませてここに参ったわけです。

 何を言いたいかと申しますと、今私がこの仕事をしているのも、神代在学中の様々な、思い、迷い、悩みが後押ししてくれているように思えてならないのです。皆さんはこれからです。大学や専門学校で学ばれる方、他の道を歩まれる方もおられると思います。そんな時、神代高校で過ごした3年間がどれほど貴重なものであったかを、大事に胸にしまっておいて、人生の勝負に出ていただければと願ってやみません。私の仕事である介護業界も人手不足です。もしご関心おありでしたらぜひ介護や福祉の仕事にも就いてください。 銀杏会はそのような皆さんの羽を休める場として、先ほどPTA会長より「基地として」というお言葉がありましたが、同じ意味で、元気を取り戻していただける場にしていただければと思っています。銀杏会のホームページも公開しておりますのでご覧下さい。

 最後になりますが、次のエピソードをご紹介申し上げて終わりにしたいと思います。 実は5年前の3月11日は63回生の卒業式でした。式を終えて、私も職場に戻った14時46分、東日本大震災が起きたのです。まだ多くの方が学校に残っておられ、帰宅困難な方もおられました。一部の方は学校にお泊りになったと聞いております。そのときの卒業生は、以後も卒業という実感がなかなか持てず、20歳になられたとき、「成神式」という式を、ご自分たちで開き、あらためて卒業をお祝いされたのです。以後、伝統になりつつある成神式は、一昨年卒業された66回生の方々にも引継がれ、この2月13日に120名が集まって開かれております。

 それこそ、まさに『 絆 』と申し上げるべきことではないかと思っております。神代を卒業されたことを誇りに思われ、これからの人生を元気よく、前向きに過ごされることをお祈りし、銀杏会にもお時間ありましたらお手伝いいただければとお願いし、ご挨拶と致します。皆さん本当に、ご卒業おめでとうございます。


銀杏会会長 藤森精太郎


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